天霧の基礎ー仙骨④

 今日は、仙骨を起点として動けば気配を消すことが可能となる、ということについて書きたいと思います。武道的な側面が強調された内容になります。

 例えば剣道等の試合で、一対一で対峙している場面を想定してください。こちらがスキを見せれば、即座に打ち込まれてしまうといったアブナイ状況です。

 さて、そのような緊迫した状況の中、アリエナイ話ですが、突然こちらの姿がフッと消えてしまったとしたらどうでしょう?対戦相手はびっくりして、その場に立ちすくんでしまうことでしょう。

 自分の姿を消してしまうとは夢物語のような話です。しかし、少し見方を変えればアリエナイ話ではなくなってきます。どういうことでしょうか?

 先程の剣道の試合会場にもどります。自分の姿を消してしまうといっても、この試合会場から忽然と消えてしまうということではありません。そんなことをすれば、会場全体が騒然となってしまうでしょう。

 必要なことは、対峙している相手にとって、こちらの動きが分からないようにすること、言い換えれば、相手のレーダー網から消えてしまうようにすることです。こちらの動きのステルス化です。

 相手のレーダーは、こちらの目線、手足の動き、重心や力点の移動、筋肉の微妙な緊張などなどの情報をキャッチしようとフル活動しています。上級者になればこちらの呼吸のわずかな変化も見逃さないことでしょう。

 このような相手のレーダー網の範囲外で動くことができれば、こちらの動きはステルス化されるということになります。少し遠回りになりましたが、これが今日の主題である「気配を消す」ということです。

 ところで、引土10段はじめ、多くの武道マスターが異口同音に強調されていることがあります。「相手を見てはならない」という教えです。相手を見ると、相手に自分の気が取られ、遅れをとる。だから、相手を見るのではなく、相手の全貌を観るようにしなければいけないという教えです。

 見ると観る、言葉遊びのようですが、ステルス化の観点からも重要な教えだと思います。相手を「見る」ということは、こちらの視線から多くの情報を相手に与えていることになります。一方、相手の全貌を観ることができれば、こちらの情報が捉えられる可能性はとても低くなります。

 さて、「気配を消す」ということと、仙骨起点による動きとの関係です。まず、「天霧の目標(経験知との付き合い方)」で書いた「経験知」を思い出してください。今日のテーマに従えば、「経験知」=動きに関する思い込み、ということになります。相手は、こちらの動きを捉えようとレーダーをフル活動させている。そのレーダーの情報処理の基準になっているのが、この動きに関する思い込みです。

 以上のことを整理すると、相手の情報処理基準=動きに関する思い込みの埒外にある動きをすることができれば、こちらの動きは相手のレーダーに捉えられない、つまり気配が消えてしまうことになります。

 それでは、我々の心の中に、動きに関するどのような思い込みがあるのか、ということです。それは、「動き=筋肉の働き」という思い込みです。ですから、相手のレーダーはこちらの筋肉の動きに照準を合わせています。このとき、こちらが筋肉以外のところに起点をおいた動きをすることができれば、相手のレーダーは、この動きを捉えることができないということになります。

 もちろん、管理人も、完全に筋肉の働きを使わない動きができるとは考えていません。動き=筋肉の働きという思い込みからどれだけ自由になれるかということです。そのために最も効果的な方法が、仙骨起点で動くことだったのです。仙骨起点で動けば動きの気配が消える(印象を受ける)。アフリカの屈強な若者たちと稽古する中で、このことが確認できたのです。

 今日は理屈っぽい投稿になってしまった気がします。仙骨起点の動きは、やはり道場で実際に体験していただかないと十分ご理解頂けないと思います。他方、すでに稽古を続けている稽古生には、道場で経験する不思議な感覚の、多少とも理論的な裏付けになったのではないかと思います。

 それではまたお会いしましょう。

 

 

 

 

 

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